2021.08.31 営業Tips

SPIN話法とは?営業担当者なら知っておきたい「質問」のフレームワーク

営業活動などのビジネスシーンはもちろん、日常生活の中でも、相手の本音や求めていることが分からずに困った経験はないでしょうか。もしある場合には、質問のフレームワークであるSPIN話法が大いに役立つかもしれません。

この記事では、営業成果を出したい方やヒアリング力を上げたい方に向けて、SPIN話法とは何かと、このフレームワークを活用するコツを解説します。

SPIN話法とは

SPIN話法とは、S(Situation):状況質問、P(Problem):問題質問、I(Implication):示唆質問、N(Need-Payoff):解決質問 の4種類の質問を会話に取り入れることで、顧客のニーズに対して適切な提案を行えるフレームワークです。ヒアリング力と提案力が求められる顧客対応時はもちろんのこと、日常シーンでも活用できる質問手法でもあります。

提唱者はイギリスの行動心理学者であり、1970年代にハスウェイト社を設立したニール・ラッカム氏です。ハスウェイト社の設立後、彼は12年間で35,000件以上にもわたる商談を調査し、その分析内容をもとにこの話法を記した著書『SPIN Selling』を出版しました。SPIN話法は、今ではIBMをはじめとした世界中の有名企業で採用されています。

このフレームワークを理解するためにも、まずはSPIN話法で用いる4つの質問とはどういったものかを解説します。ここでは、ある相手にSPIN話法を取り入れることを勧めたい状況を例に挙げて説明します。

Situation–状況質問

シチュエーション、つまり相手の現状を把握するための質問が「S」にあたる部分です。

状況質問の例

「商談は毎月何件ぐらい実施していますか?」
「営業目標の達成には、あとどのくらいの売上が必要ですか?」

上記のように、顧客の今の状況を確認します。

Problem–問題質問

問題質問は、顧客の抱える課題を引き出す質問で、基本的にはクローズド・クエスチョン(「はい/いいえ」で答えられるもの)になります。

問題質問の例

「営業活動をしていて、提案内容が顧客に響かないことはありませんか?」
「顧客自身がどのような課題を持っているのかが分からず、提案に困った経験はないでしょうか?」

顧客が困っていそうなことを投げかけることで、共感を引き出し、顧客の抱える問題の顕在化を促します。

Implication–示唆質問

示唆とは、それとなく教えることです。つまり、「I」では顧客に質問をしつつも、顧客が課題を認識するヒントを盛り込みます。

示唆質問の例

「顧客が抱える課題が明確にならないと、なかなか適切な提案内容が浮かばないのではないですか?」
「提案に重点を置いたまま営業活動を進めていれば、顧客は『押し売りをされる』と逃げてしまうことになりませんか?」

顧客が不快に思わないような配慮は必要ですが、出来るだけ顧客が自分で課題に気が付けるよう、遠回しになり過ぎない投げかけ方がポイントです。

Need-Payoff–解決質問

解決質問は、顧客の課題に対する解決策を質問の形で提案することです。

解決質問の例

「顧客の課題を明確化できるSPIN話法を取り入れれば、今よりもさらに質の高い提案ができると思いませんか?」
「SPIN話法により適切な提案が出来るようになれば、今後の営業成績の向上につながりませんか?」

このように、顧客の課題に対して有効な解決方法として、提案したい内容を投げかけます。

SPIN話法はなぜ重要?

SPIN話法が重要視されているのは、以下のような効果が期待できるからです。

潜在ニーズの抽出ができる

質問を投げかけながら会話を展開していくことで、顧客は何かを一方的に「提案されている」というよりも、自分の話を聞いてもらっている感覚で自発的に発言ができます。

顧客の共感を引き出す質問や、課題の明確化につながる質問などを織り交ぜて会話することで、顧客自身も気が付けなかった潜在的なニーズを引き出せることもあります。SPINを活用し顧客の本音を引き出すことで、結果的に営業成果の向上にもつなげられるでしょう。

顧客の温度感を高められる

SPIN話法の優れている点は、顧客のニーズを探るだけでなく、スムーズに商談へとつなげるための雰囲気づくりを同時に行えるということが挙げられます。

顧客の抱える課題やそれに対する解決策について、営業から一方的に提案するのではなく、顧客自身の口からそれを引き出すことで課題解決を顧客の「自分ごと」にさせることができます。これにより顧客は課題解決できるサービスや商品の導入に対しても前向きになり、営業に対する心理的な障壁が低くなるため、商談につながりやすくなるでしょう。

SPINを活用した質問例

異なる業種や商材をいくつか挙げて、ステップごとの質問例をお伝えします。
自社と近いものを参考に、実際にSPIN話法を用いる際のヒントにしてみてください。

Situation–状況質問

状況質問では、現状の確認ができる質問内容を意識します。あまり冗長にならないように、さらりと質問をしていくのがコツです。

オンライン商談ツールの営業の場合

「最近はテレワークも一般化してきましたが、御社はリモートでの商談時にどのようなツールを活用されていますか?」

生命保険営業の場合

「○○様は、ご勤務先での社会保険以外に、何か保険には加入されていますか?」

不動産投資営業の場合

「不動産投資を実際にされたことはありますか?」

Problem–問題質問

問題質問では、顧客が答えやすいようにYESかNOで答えられる質問を心がけます。

オンライン商談ツールの営業の場合

「Web会議ツールでの営業活動をしていて、プレゼン途中で時間切れになってしまうなど、何か不便に感じたり、営業機会損失をしたりなどの経験はありませんか?」

生命保険営業の場合

「突然のご病気などで高額な医療費がかかったり、働けなくなってしまったら、今ご加入されている社会保険だけだと不安ではないですか?」

不動産投資営業の場合

「もしも何かがあった時のために、お勤め先以外からの収入源があれば安心だと思いませんか?」

Implications–示唆質問

示唆質問では、顧客が自らの課題に気が付けるように、手助けをする感覚で質問をしていきます。

オンライン商談ツールの営業の場合

「Web会議ツールでの商談を続けていると、外回り営業の挨拶周りのようにアポなしでタッチポイントを増やすのが難しくなったのではないですか?」

生命保険営業の場合

「万が一のことがあったときに、養育費や居住費・生活費などの保障ができるとご家族も安心なのではないですか?」

不動産投資営業の場合

「労働賃金以外に収入源があれば、現役時代の第2の収入としてはもちろん、老後の備えとしても安心ではないですか?」

Need-Payoff–解決質問

解決質問は、顧客が認識した課題に対する適切な解決方法を、質問をしながら投げかけるイメージです。必ず、顧客の課題と提案内容に解決策としてのつながりがあることを確信出来てからこの質問をしましょう。

オンライン商談ツールの営業の場合

「もしテレアポからの延長で、メールアドレスを聞くこともなくそのままオンライン会議ができたら商談数が増やせると思いませんか?」

生命保険営業の場合

「生命保険があれば、ご自身に何かがあったときにはご家族皆さん安心して過ごせるのではないですか?」

不動産投資営業の場合

「株や為替などのように暴落するリスクがない不動産であれば、投資先としては安心なのではないですか?」

SPIN活用のコツ

SPIN話法を使う時には、以下の3点を意識することで質問の精度を上げられます。

事前準備を怠らない

例えば、今から話をする顧客が医者で、あなたがレーザー治療機器を販売したいとします。この場合、まずは顧客が既に導入しているレーザー治療機器を調べるのではないでしょうか。
そして、自社商材の強みが「肌への負担が少ないこと」で、導入済み商材の口コミに「皮膚がしばらく腫れて痛かった」などの弱みがあったとしたら、その内容をもとに質問を考えられます。

質問は、S→P→I→Nの順に

質問は、まず「S」で現状を知り、「P」で問題を明らかにし、「I」で顧客自らがそのボトルネックとなる課題に気が付くよう導きます。そして「N」でその課題に対する解決策を提案する、という流れになります。

とにかく「聞く(聴く)」を心がける

質問のフレームワークであるSPIN話法ですが、ついつい質問をすることに気を取られてしまい、肝心の顧客の話を深く聞けないといったことがないように気を付けましょう。
目的は質問をすることではなく、質問を通して顧客の課題を知り、適切な提案をできるようにすることです。

まとめ

SPIN話法は、目的によって質問を使い分けることで得たい情報を得られ、相手が自ら課題に気が付けるきっかけ作りができる質問のフレームワークです。

SPINと合わせて覚えておきたいフレームワークには、「BANT」というものがあります。BANTは営業提案時に必要な情報である、相手の予算感、決裁者、必要性、導入時期に確認するためのフレームワークです。SPIN話法とBANTを組み合わせることで、提案に必要な情報を得ることができるでしょう。

BANTについては下記記事にて詳しく解説しているので、参考にしてみてください。